代表取締役 磯田拓也
シバセ工業は、幾度の試練に打ち勝ってきています。下請け企業から独立企業へ、プラスチックごみ問題ではストローが悪者になりましが、プラスチックやストローが悪いのでなく、使用後の処理が問題です。使い終わったら正しくゴミを片付けることが大切です。ごみを片付ける習慣ができれば、プラスチックはとても便利で生活を豊かにしてくれますので、シバセ工業ではプラスチックストローの製造にこだわっています。新型コロナウイルスでは当社も売り上げが前年比3割まで激減しました。しかし、1人も解雇することなく、パートも含めて休業手当は基本給の80%を払っています。手当は全額支給です。売上も少しづつ戻ってきて、7月6日からは、通常生産体制に戻りました。チーム「シバセ」では一丸となって試練に立ち向かいます。
大手モーターメーカーでモーターや検査装置の開発をしてきた経験を生かして シバセ工業入社後も技術者の視点を生かした経営で注目を浴びる。
大正15年創業。本社工場は昔の建物の姿を、今もなお残している。この中で様々な技術者が開発に携わっている。
創業時は精米麦事業。その後、素麺の加工販売へ転業。そして現在のストロー製造業へ。昔からベンチャーマインドあふれる会社だった。
大企業に入ると専門分野毎に分かれて、分担して開発を行います。私は、前職では大手モーターメーカーの開発部に在職していましたが、開発部では、機械設計、電気設計、磁気設計、ソフトウエア開発などいくつかの分野に分かれて設計をを行います。専門的には深められますが、一人では何も出来ないエンジニアに
なってしまいます。大企業でも、電気も機械もプログラムもできるエンジニアは、ほとんどいません。シバセ工業では、機械設計、電子回路設計、ソフトウエア開発まで一人で出来るマルチエンジニアを目指します。
全くの素人でも、勉強するやる気さえあれば、出来るように育てていきます。
7年前に入社した数学科出身の社員は、機械も電気もソフトも全くやったことのない素人でした。
しかし、彼は自分から進んで勉強し、今では 機械設計CADを使い、電子回路を設計し、基板の設計を行い、プログラムも作れるようになりました。実力的にはまだまだですが、全くの素人でも開発エンジニアになれることを彼が証明しています。
機械設計も、回路設計も、ソフトウェアも。製品完成までの全ての工程を自分で担当します。わからないことだけらけ。でも、それが一番わくわくします。
モーター検査装置で培った技術はストロー製造にも活用しています。CCDレーザーセンサーで真円度を測定し、安定した精度を保てる製造システムを実現しました。
現在開発に携わっている若手社員は、数学科出身。機械や電気・電子の知識はほとんどゼロ。それでも少しずつ技術を覚え、今では重要な戦力として活躍しています。
シバセ工業は、素麺の会社として始まり、飲料用ストローのメーカーとなり、ストローの技術をあらゆる産業分野、特に医療分野などで、薄肉パイプ・薄肉チューブとして活用が広がっています。
工業用ストロー・医療用ストローと呼んでいますが、積極的に異分野へ進出しています。その力となっているのが、社内エンジニアの開発する設備です。製造ロボットなどの設備開発のエンジニアがいるからこそ、オンリーワン企業としての強みを発揮できています。
ストローとハイテクの掛け算で、ニッチな市場を掘り起こしながら、さらに成長の歩みを進めていきたいのです。
下請けにはならない自立の精神が、成長を支えています。自分たちで開発し、自分たちで製造し、自分たちで販売することで、一歩一歩着実に成長を続けていきます。
ストローという分野は、会社も少なく市場規模も小さいため、ニッチマーケットと呼ばれる分野です。競合する会社も少なく、新規参入もありません。しかも、必需品のストローの市場は無くなることがありません。中小企業の我々にとっては魅力的な市場です。
ストローを製造する会社が少なくなった日本において、工業用や医療用のストローは、オンリーワンの技術です。他のストローメーカーが追随できない高度な技術力と顧客のアイデアを結びつけるオープンイノベーション戦略によって、社会に貢献します。