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【ストローとプラスチックごみ問題】

2018年、亀の鼻にストローが刺さった映像を皮切りに、海洋プラスチックごみ問題 がクローズアップされ、ストローがプラスチックごみの象徴のように報道されてきまし た。プラスチックを海洋投棄すれば、腐らないのでずっと残ってしまうことは最初から わかっている事です。プラスチックの利点の一つが簡単に分解しないということです。 分解しないということは、腐ることもなく長く使うことができるので、安心して使い続 けることができますが、自然界に捨てると分解せずに長く残ってしまいます。長所が逆 に短所に変わる場合もあるので、物の特性を良く考えて短所を補い長所を伸ばす使い方 をする必要があります。このプラスチックごみの問題は、プラスチックの使用が問題で はなく、使用後に正しく処分していないことが問題なのです。

【シバセ工業の基本方針】

シバセ工業ではストローを作っています。そのストローは、ポリプロピレンのプラスチ ックを基本とします。紙のストローや生分解性プラスチックなどは、扱っていません。 2018年中は、紙ストローや生分解性ストローの問い合わせは多くありましたが、敢えて 扱いませんでした。2019年以降は、ほとんど問い合わせもありません。当社の考えでは、 消費者の利便性、価格、品質、安全性、リサイクル、焼却などトータルで考えた時に、 プラスチック製のストローが地球環境を長く持続させるのに適していると考えています。

【プラスチックストローにする理由】

ストローは、使い捨てです。「使い捨て」と言うと使い終わった後で捨てていると誤解 されるかもしれませんが、使用後は回収して正しく処理されています。1回きりの使用 だからこそ、最適な材料を選択します。ポリプロピレン(PP)は、車や食器などあら ゆる分野で使用されている汎用的な樹脂で、安全で低価格です。柔らかいプラスチック では、袋などに使用されるポリエチレン(PE)があり、ほとんどのプラスチックがこ の2種類です。ポリプロピレンは、硬いので薄いパイプにしても、氷の入ったジュース をかき混ぜることができる強度があります。マドラーとしての機能も必要なのです。材 料を少なくする薄くして、そして価格を出来るだけ安くするために、ポリプロピレンと いう硬い汎用樹脂で作っています。しかも、できれば使用後にリサイクルするなら種類 が同じでなければいけません。紙や生分解が混ざると、リサイクルできなくなってしま います。

【繰り返し使用しない理由】

繰り返し使用するには、使用後には洗浄しなければなりません。細い筒状のストローは 、内側をきれいに洗うことが困難です。内側をきれいに洗わなければ汚れが残って、汚 れを通して飲料を飲むようになります。きれいに洗浄するには、ストローの価格以上の 手間と水と洗剤を使うようになります。水も貴重な資源です。日本だときれいな水は安 く豊富に手に入りますが、世界では水が貴重な国が多いので、洗って再利用するよりは 1回きりの使用にした方が、安く安全になります。

【世界ではストローの目的が違うようです】

東南アジアなどでは、飲み物には必ずストローがついて出てくるようです。ビンでも缶 でも何でもストローがついています。これは、きれいな水が不足しているので、ビンも 缶もグラスもきれいに洗われているわけではありません。そうすると、直接そこへ口を つけると汚いですから、ストローを挿して飲むわけです。

【ストローは昔から同じ形状】

ストローは、昔から使い捨てです。1回しか使いませんから、材料がもったいないので、 いかに少ない材料で作るかを考えてきました。ストローの目的は、飲み物を口へ輸送す る輸送菅です。その輸送効率は、距離が短い方がよいわけで、無駄に長くする必要はあ りません。コップの高さに応じて適切な長さを設定します。また、ストローは冷たいジ ュースやタピオカを飲んだりしますので、食材に応じた最適な直径があります。無駄に 大きな口径は、材料を無駄にします。また、ストローの厚みを厚くすると、硬くなって 強度は強くなりますが、材料を多く使います。厚みを薄くすると強度は弱くなりますが 、使用する材料は少なくなります。最も強い断面形状は〇です。薄肉でありながら〇断 面にすることで、少ない材料で氷の入ったジュースをかき混ぜることのできる強度を保 ちながら、飲み物を口に輸送する最も効率的な形状になっています。

【何故 紙ストローを作らないか】

シバセ工業は紙ストローを作りません。何故、今の時期に紙ストローという考えが出て きたのでしょう。恐らく、ウミガメの鼻にストローがささっていたので、紙ならふやけ るから、ウミガメの鼻に入っても大丈夫という考えでしょうか。何か問題の根本原因と ずれているような気がします。紙なら海でふやけて分解するでしょうが、紙ストローだ から海へ捨ててもよいというものではありません。紙でもプラスチックでも、使い終わ ったら回収して再利用するなり焼却するなりして、自然界に排出するのを防がなければ なりません。紙ストローでは、ジュースを飲み終わると濡れています。紙として再利用 は出来ません。焼却も濡れているの燃やしにくいです。紙ストローは、強度を出すため に厚みがあります。そのため重くなります。重くなれば輸送で燃費が悪くなります。価 格も高いし、子供やお年寄りが飲みやすい曲がるストローを作ることも出来ません。紙 を接着剤で固めて作るので、紙や接着剤の味がするかもしれません。おいしい飲み物に 使用するストローにそのような物は提供できません。

【生分解性プラスチックを使用しない理由】

微生物で分解する生分解性プラスチックというものがあります。捨てられても、微生物 で分解するのだから良いような気がしますね。しかし、微生物はほとんどが土の中であ り、海には分解するような微生物がいません。しかも今の技術では、完全に分解してゼ ロになるような生分解プラスチックはありません。土の中では一部が残ってしまいます し、海の中ならほとんどが残ってしまいますので、今の海洋プラスチックごみ問題の解 決にはなりません。さらに、ストローの製品になると、普通のプラスチックと見分けが つきません。普通のプラスチックは溶かして再度製品にすることもできます。プラスチ ックは分解しない特性から長期間使用できますが、再生するときに生分解性プラスチッ クが混ざってしまうと、その部分から分解して強度が弱くなってしまいます。リサイク ルの基本は分別して同じ材料を集めて、再利用するものです。見分けのつかないような 種類が増えると、分別が出来なくなりリサイクルに影響が出ます。自然界に捨てること なく、使用後にリサイクルや焼却処理するなら、生分解性という意味が無くなってしま います。分解性というワードは、捨てることを前提にしています。まずは、リサイクル や焼却処分で自然界への排出を防ぐことを考えたいです。

【大量消費・大量廃棄の時代は終わらない】

先進国は人口が減っていますが、途上国は人口が増えています。トータルすると地球上 の人口は増えているので、地球上の人類に安全で豊かな生活を供給するためには、大量 の物資が必要であり、物資を使用した後には大量の廃棄物が生まれるのは当然です。そ の廃棄物を川に捨てれば海へ流れ出し、今の海洋プラスチック問題を引き起こします。 増大した人類に大量に供給する物資を作るには、プラスチックが適しています。その昔 日本の最初のストローは「麦わら」でしたが、その後、紙のストローに切り替わりまし た。しかし大量に消費する需要に応じることが出来ず、プラスチックに切り替わってい ます。大量に消費した分は、大量の廃棄物として排出されます。人間が口から食べた分 を排泄するのと同じです。排泄物を処理する仕組みを作っておかないと、衛生的な生活 が出来なくなってしまいます。大量の廃棄物を処理する方法として最適な方法は、「サ ーマルリサイクル」です。燃やすことで熱源として利用し、電気を生み出します。プラ スチック材料としてリサイクルする方法もありますが、再利用するには洗浄しないと使 えないので水資源が必要です。しかし、途上国では水資源が貴重な国が多いので、マテ リアルリサイクルは難しくなります。プラスチックは元が石油ですので、少しぐらい食 材で汚れていても、燃やすのに難はありません。燃やして熱にして電気に変えれば、電 気はどこの国でも必要な資源になります。

【日本も大量廃棄のごみの島だった】

日本も昔大量消費の結果、ごみの処理が追い付かずごみの島になっていました。今でこ そ外国の人は日本に来るときれいな国だと驚きます。しかし、それは日本人だからとい うことではなくて、廃棄物を回収する仕組みと回収したごみを処理する施設をたくさん 作った結果です。日本は、世界で最もごみ処理施設の多い国です。ごみ処理の技術も進 んでいます。世界には、ごみ処理のインフラが無く、ごみを川に捨てたり山積みにして いる国がたくさんあります。昔の日本と同じ状態です。ごみ処理先進国の日本としては やってきた事を世界にアピールすべきだと思います。そして、ごみ処理の仕組みやごみ 処理施設などを世界に輸出していけば、世界のごみ問題は少なくなります。人口が増え て消費する物資も増えていく以上、大量に出る廃棄物の処理から目を背けることはでき ません。ストローを使わないとか、レジ袋を使わないとか、ほんのわずかなプラスチッ クの使用を抑えても何も変わりません。人間は、便利になった生活を捨てられませんし 豊かになりたいという欲求を抑えることはできません。お金をかけて便利さを追求する 以上は、お金をかけてごみ処理をするしかないのです。

【持続可能な社会にするには】

化石燃料はいずれ無くなるかもしれません。しかし、化石燃料が無くなれば人類が終わ りになるわけではありません。人類は幾多の試練を乗り越えて進化してきました。化石 燃料に代わる新たな資源を人類はいずれ見つけます。しかし、そのための技術革新には 時間が必要であり、時間稼ぎをする必要があります。今の資源を大切に使いながら、そ れでいて生活が不便にならず、途上国の人がより豊かになるためには、何が必要かを考 えて、自分だけが得をするのでなく他人も含めた全ての人が豊かで幸せな人生を送れる ようにするにはどうするかを考えていきたいです。

【ストローは文化のバロメーター】

ストローは、文化のバロメーターと言われます。貧しい時は、ストローが無くてもジュ ースは飲めます。しかし、豊かになって文化水準が上がってくると、おしゃれに便利に 飲みたいという欲求がでます。生活が豊かになると外食が多くなり、外食産業が発展し ストローの需要が増えます。お店の人は、お客に来て欲しいからサービスとしてストロ ーやナプキンをつけます。サービスの競争があるから、より洗練されたお店が出来てき て人々は豊かな生活を送れるようになります。ストローを出すか出さないかはお店の判 断ですが、お客の事を考えたサービス品です。レジ袋も同じです。お店のサービス品で お客の事を考えたサービス品です。いずれも自分の店に多くのお客を招きたいサービス の競争であり、競争が質を高めて文化水準が上がっていきます。

【海洋プラスチックごみの解決策は】

海洋プラスチックごみの多くは、ごみ処理施設を持たない国からの流出です。ストロー やレジ袋の使用を制限しても、その他多くのプラスチックが消費され廃棄されているの で、ごみ回収の仕組みとごみ処理施設がなければ川に捨てられ海に流れ出します。海に 流出しなくても野積みされたごみは、残った食物が腐り異臭を放ち生活環境を悪化させ ます。人間は海中で生活しているのでなく、陸上で生活して陸上でごみを出します。 ごみが陸上にあるうちに処理すれば、海へは流出しません。海洋プラスチックごみ問題 で海へ目を向けることも重要ですが、まず自分達に出来ることは、陸上で出たごみを回 収へ回すことです。また世界へ目を向けて、日本のやってきた経験をアピールして、ご み処理の技術を輸出することで、世界中の国に、日本と同じくらいのごみ回収の仕組み とごみ処理施設が出来れば、海洋プラスチックごみ問題は解決に向かうでしょう。そう すれば、ストローやレジ袋はどんどん使っても、海にごみは少なくなり、きれいな地球 で豊かな生活を送れるようになります。

【それでも海へごみは流出します】

日本には、多くのごみ回収システムがありますが、それでも日本の海岸には多くのプラ スチックごみが散乱しています。何故でしょう。一部の人の中には、ごみを捨てる人が いるのも事実です。しかし、それよりも多いのは、自然災害による流出です。台風がく れば、折角片付けたごみが飛んでいくし、洪水で流されたり、津波で根こそぎ海へ流出 することもあります。自然には勝てませんが、だからといってプラスチックの使用を止 めるようなことでもないです。台風の次の日は、みんな片付けに追われます。海岸へ打 ち上げられたごみを片付ける活動も各地で活発に行われています。汚したら片付けると いう各家庭でも当たり前にやっていることをするだけです。野山や海に流出した人類の ごみは人類で片付けることできれいな地球を守っていくようにしたいものです。

【多くのメディアに取り上げられました】

食品包装 2019年10月号
プラスチックストローはなくならない
日報ビジネス 2019年8月26日
ストロー事業は好調に推移 ポイ捨て前提の議論に疑問
読売新聞 2019年4月25日
廃プラの波 企業・自治体に!
包装タイムス 2019年1月28日
"使い捨て"の衛生性が好評 工業・医療向けストローに脚光
北海道新聞 2019年1月23日
プラ製ストロー悪者なの?小さな業界狙い撃ち/適切な処理優先すべき
VISION岡山 2018年11月19日
「脱プラ製ストローで波紋」国産トップシバセ工業は「分別回収する日本でなぜ」
朝日新聞 2018年10月25日
プラ製ストロー逆風こそ商機、医療に転用 小口客重視
包装タイムス 2018年10月29日
"使い捨て"の衛生性が好評 工業・医療向けストローに脚光
包装タイムス 2018年10月22日
原料より廃棄への注視を!脱プラストロー問題に提言
産経新聞 ニッポンの議論 2018年9月23日
プラスチック製ストロー廃止問題 プラスチックが悪いのでなく後処理の問題