マイケル・ポーターの戦略(シバセ工業社長による朝礼)
マイケル・ポーターは、アメリカのハーバード・ビジネス・スクールの教授です。マイケル・ポーター教授の戦略論は、市場分析、競合分析を重視して、競争に勝つためには、**「コスト・リーダーシップ戦略」、「差別化戦略」、「集中戦略」**のいずれかを取るべきだと提言しています。
(1) コスト・リーダーシップ戦略
他社より低価格で製品やサービスを提供することで最有意に立つ戦略ですが、そのためにはコストを下げるための戦略が必要です。他社よりもコストを下げることができれば、大きなシェアと利益を得る事ができますが、レッドオーシャンでもあります。
(2)差別化戦略
自社の製品やサービスを他社とは違う特異なものと顧客に認知してもらい、業界での優位性を築こうとする戦略です。差別化は、ブランドイメージや商品の機能、技術力による品質、顧客サービスなどで行われます。
シバセ工業は、この「差別化戦略」を使っています。ストローという誰でも知っている製品ですが、精度の高い薄肉パイプにすることで工業や医療の分野でも使ってもらっています。普通のストローメーカーでは顧客の要求する精度に対応できず、パイプやチューブのメーカーではストローのような薄肉のパイプを作ることができません。
(3)集中戦略
市場を細分化し特定のターゲットに資源を集中させる戦略です。市場を限定するため規模が小さくなり大きな成長は望めませんが、競合が少ないブルーオーシャンの市場です。
シバセ工業では、この「集中戦略」も使っています。「日本製ストロー」というニッチな市場に資源を集中させています。日本のストロー市場の90%は海外製ですが、日本の飲食店の10%くらいは、少々高くても小ロット・多品種・短納期の要望がありますので、ここを狙っています。さらには「日本製ストロー」の市場が小さくなったことで、日本のストロー製造の会社がほとんど残っていないため、価格競争もありません。
検査装置も「差別化戦略」と、「集中戦略」の両方を使っています。私がモーターの開発を経験してきたことでモーターの設計を知っていることと、モーター用の自動検査装置を実際に開発してきたことで、モーターメーカーの顧客にとっては何も言わなくてもかゆい所に手が届く存在になって他社と差別化できています。西和彦氏の記事にもありましたが、「ハードはソフトとの相互作用で成り立っている。機器の能力が高まれば、それを生かしていいソフトができる。機器を作らないとソフトのことも分からなくなる。」 モーター検査装置の設計では、まず自分で検査のための電子回路を設計して機器を作ってからソフトを開発しました。そして、ソフトはこの機器でないと動かない設計にしてあります。そういう設計ができるのもハードとソフトの両方が出来るからです。さらに、開発はモーター製造ラインでの自動検査というニッチな市場に限定しています。検査装置を設計できる技術があれば、モーター以外の製品の検査装置も設計できますが、モーターの製造ライン用の検査装置に集中しています。

