シバセ工業の戦略(シバセ工業社長による朝礼)
シバセ工業は、マイケル・ポーター教授の経営戦略を使っていますが、シバセ工業の戦略自体は、マイケル・ポーター教授の戦略論を参考にしたものではありません。専門家の経営戦略論というのは、一般的に机上で考えられたものではなくて、多くの会社を訪ねて会社の戦略の話を聞き、戦略の結果として成長や利益がどうなったかを統計的にまとめた結果、こういう市場や競合の中で競争に勝つためには、こういう戦略が有効だと提言しているものです。
シバセ工業の戦略について、もう少しわかりやすく説明しておきます。
「コスト・リーダーシップ戦略」は使いません。これは、市場が大きく競合が多数いるなかで使う戦略です。大きな市場には、参加者が多くなり競争が激しくなります。競合が多数いる業界では、いずれ模倣されて価格競争になりますので、その中で勝っていくことは容易ではありません。
「差別化戦略」では、他社と違うものを提案しますが、いくら他社と違っても競合が多数いるといずれは模倣されます。そこで、競合が少ない市場を選びますが、小さすぎる市場では経営が成り立ちません。日本の飲料用ストローの市場は、70億円程度と予測していて、その中で10%くらいが海外製のストローより高い価格でも「小ロット・多品種・短納期」の日本製ストローを受け入れてくれると考えました。日本製ストローを購入してくれる市場は10%の7億円くらいあると考えると、日本製ストローのメーカーは少なくなりましたので、日本製飲料用ストローはもう少し行けそうです。今後は、工業用ストロー、医療用ストローも伸ばしていく必要がありますが、こちらは市場自体がありませんので競合がいませんし、適正価格も決まっていません。言い値で売れるので利益が取れますが、課題は市場規模が小さいので市場を創って拡大することです。
日本製ストローの市場を選択した「集中戦略」では、ストローの会社が少ないのでストロー用の製造機械を作る会社が日本から無くなっています。機械メーカーが無い事から、自分たちで機械を設計したりメンテナンスしたりしないといけないですが、これは競合を参入させない為の当社の作戦でもあります。新しい会社がストローの業界に参入しようとしても製造機械を作る会社がなければ、お金を出しても参入することが出来ません。
検査装置の「集中戦略」は、販売する市場を製造ラインの検査装置に集中していることです。どんな製品でも工場の製造ラインで生産されますが、出来た製品が良品か不良品かを判別するための検査装置が必要です。工場から不良品は出荷させられませんので、コンピュータで良品か不良品かを判別するための自動検査装置を作っています。モーターの検査としては、電流や回転数、トルクや振動など場合によっては数十項目に及ぶこともありますが、自動検査で全ての検査をクリアした製品だけが出荷されます。製造ラインでは、検査を短時間で確実に実施することは生産性に直結するので、検査装置を購入することのメリットが書きやすくなります。例えば200万円の検査設備を購入したい場合は、この設備を購入してラインで何台検査すると、5年で500万円の利益を生み出せると稟議書に書くと経営陣を納得させやすくなります。どこの会社でも社内稟議が通ると発注できるので、稟議書が通りやすい製造ラインの設備を狙っています。また、装置開発をモーター製造ラインでの出荷検査に絞ることで、少ないエンジニアでも効率よく開発が出来るので、他社との差別化が可能です。

